中国 墨 鉄斎翁書画墨 油煙101

文化大革命前、上海の曹素功系列の墨店では、その高級油煙墨は五石漆烟・超貢烟（超貢漆烟）・貢烟・頂烟の四等級に分かれていました。
文化大革命が始まると破四旧といわれる運動が起こります。四旧とは旧思想・旧文化・旧風俗・旧習慣の4つです。これは中国の伝統工芸の世界に計り知れない影響を与えます。製筆の世界では「写奏」が「写巻」に変わったのがこの時期だといわれています。
製墨においても当然貢烟の貢などといった封建時代を想起させるような字句を商品に表記させることはできなくなり替わりに使われるようになったのが数字記号で五石漆烟が油煙101に、超貢烟が油煙102に、貢烟油煙103に、頂烟が油煙104というように新たな呼称が付けられました。ただしこの油煙101は使用される煤のみの等級をあらわしたものではなく同時に使われるほかの材料や製法上の違いも含めたランク付けということになります。
70年代初頭の製法に限りますが「油煙101」は、純油煙であり、それも桐油に生漆を混ぜたものを焼成した漆烟であります。旧称の五石漆烟の製法です。それに麝香、金箔（１斤に8枚）、その他の漢方薬を配合しています。今回ご紹介の鉄斎翁書画宝墨はこの油煙製法で作られています。