石川県重要文化財指定　山田宗次謹製　本麻上布　反物

能登上布は中能登一帯に神代の時代より伝わる伝統の麻織物で、質･量ともに日本屈指の本麻手織上布です。

「蝉の羽」とも形容される、薄くて軽い盛夏の着物生地となり、麻の持つシャリ感とひんやりとした風合い、丈夫さが特徴です。櫛押し捺染やロール捺染といわれる能登独特の絣染め技法による精緻な経緯絣の製造を代表とする工芸技術が石川県無形文化財に指定されています。

近江上布の麻糸の産地であったことから、近江より技術者を招いて文政元年には能登縮が生まれました。古くは能登縮、出荷港の名で阿部屋縮と呼ばれ、昭和初期には全国一位の生産量を誇っていました。1982年には織元は一軒のみとされています。古くは麻、大正末ごろから苧麻が使われるようになりました。能登上布は海晒しを行うため、かつての生産地の付近の海岸は雪が降ったように白一面となっていたといわれています。記録では1940年まで行われており、次第に生産者が減り技術が途絶えそうになり能登上布保存会が発足しました。また1981年には石川県鹿西高等学校に「能登上布の里」という資料館ができ技術者が生徒に機織りを教えています。