花田一男　大黒天

福岡県豊前市生まれの彫刻家です。
十二歳のときに福岡に移り、福岡を故郷として育ちました。
昭和14年に上京し、芸術院会員の「平櫛田中」氏に師事します。
セメント製の像を得意とし、戦後いくつかの像を手がけています。
その後、その高い実力が認められ、日展会員になるなど活躍の幅を広げ、世間に広く知られる実力派の彫刻家として名をはせました。
昭和14年院展初入選、日彫受賞3回、藍綬褒章受章しています。
かつてＪＲ直方駅前に立ち、削岩機を手にした炭鉱労働者を表現した坑夫の像は、同市出身の花田一男が制作しました。高さ約２・４メートルのセメント製で、１９５４年に駅前に設置されていましたが、「旧産炭地の暗いイメージからの脱却」という風潮もあり、９６年の駅前ロータリーの改修に伴い、遠賀川と彦山川の合流地点にある公園の一角に移設されました。移設に対しては、当時も「過去の歴史に背を向ける行為」などと反対意見も多かったといいます。現在、像がある場所は、普段はほとんど人通りがなく「なぜこんな場所に移したのか」という声もあります。